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偽文士日碌

二月十二日(水):737-738

 会議室とメールで山下洋輔がサームラコーチ・ブラコーチの代作の
件で盛りあがっている。歌謡曲の世界では比較的多く行われているら
しい。そう言えばおれも、クラリネットのアドリブ部分を洋輔に書い
てもらったことがある。二曲目からは自分で書けと言われ、書いた楽
譜を彼に見てもらったりした。「この部分、反則なれど許す」などと
指摘されたことを思い出す。
 午後三時、講談社・須田美音が産経新聞文化部の海老沢類とカメラ
マンを案内して来宅。やはりいい人にインタヴューされると、いつも
と違った返事がすらすら出てくる。いい記事になりそうだ。「創作の
極意と掟」が発売された次の日の二十六日か、または次の水曜日の三
月五日の朝刊に出るらしい。海老沢君が帰ったあと、須田さんに署名
落款した本の見返しの紙、約三百五十枚を渡す。上下逆に書いてしま
った分は、周囲三ミリずつを断ち落すので問題ないそうだ。本に登場
してもらった現存する人すべてに贈呈しようと思うので、ゲラの索引
のページから人名を抜き書きする。案外亡くなった人が多い。
 スピードスケートの選手は眼鏡をかけるとなぜ同じ顔になるのか。
オリンピックを見ているとまるで自分が出たようにくたくたになって
しまう。疲れないのはカーリングくらいのものである。だいたい一時
ごろまで見ていて、そのあとの深夜にやる種目はとても見ていられず
にぐっすりと眠ってしまう。
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