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偽文士日碌

七月十五日(水):885-886

 午後三時、角川書店の郡司珠子が来訪。わが作品の映画化の話であ
るが、契約書が英語なのでわからず、郡司さんに説明してもらい、サ
インをし、捺印する。郡司さんからは細田守監督作品「時をかける少
女」のグッズをたくさん戴き、こちらからは京都の扇子をお渡しする。
キャラメルボックス「時かけ」の初日が近づいている。当日は郡司さ
んがおれたち夫婦を迎えに来てくれる。楽しみなことである。
 午後五時五十分、国際タクシーを呼んで両国のシアターχへ。伊沢
君上山君がわが作品を多く上演してくれたこの劇場は実に久しぶりで
ある。ロジャー・パルバースが出迎えてくれたので、土産の日本手拭
と、奥様用のハンカチを渡す。「ロジャーを囲む会」なのである。植
田沙加栄がいろいろと世話を焼いてくれ、井上ひさし夫人やお嬢さん
の都さんにも紹介してくれた。司会は沼野充義である。最初にロジャ
ーのパフォーマンスがあり、ピアノを弾き、歌う。都さんの乾杯の音
頭があり、おれが喋らせられる。「ロジャーには英語で講演をしなけ
ればならない時に、その原稿を書いてもらうつもりだ。その講演とは
言うまでもなくノーベル文学賞の受賞式である」と言って笑わせると
ロジャーがブラボーと叫び、全員の万歳となる。この間から時どき捻
挫したように足首に激痛が走るのだが、それがまた痛みはじめたので
早いめに退出する。九時半に帰宅後も、まだ痛む。昨年の傘寿祝いに
皆から貰ったステッキがこんなに早く役立つとは思わなかった
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