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偽文士日碌

三月二日(土):1183-1184

 岡本裕、改姓して隅野裕が午後一時に車で迎えに来てくれる。光子
が後部座席、おれが助手席。布施畑から高速に入り神戸西料金所から
舞鶴若狭道に入り、丹波篠山口から綾部のドライブインでちょっと休
憩。福井県に入って大井高浜など原発銀座を経て、若狭美浜で高速を
出る。二十七号線を敦賀へ。滋賀県に入り、塩津街道別名・鯖街道を
通って湖西にあるロテル・デュ・ラクという凄いホテルに到着。入口
がわからず通過してしまった道路では猿の群れに遭遇。可愛い子猿を
轢きそうになって肝を冷やす。
 ホテルはレベッカのマンダレー荘みたいな門をインターホンで開け
てもらう自動の鉄柵の奥にあり、おれたち夫婦は本館だったが喜美子
さんや裕や岡本篤と敬子夫婦は宏大な庭にある洒落たコテージにお泊
り。五時半、レストランに行き、ここで京都から来た三人と六人全員
が揃う。それぞれ好みの飲物、おれは「響」のハイボール。料理はス
イスメレンゲとフォアグラ、トリュフとポルチーニ、琵琶湖産しじみ
のコンソメ、前菜がクロマグロなど、魚料理は伊勢海老、肉は近江牛
のロース、デザートは菊芋、苺、ローズヒップ、冬瓜など。料理はや
や凝り過ぎか。食事のあとはおれ以外の全員が温泉に入ったあとおれ
たちの部屋に来て、また飲んだり喋ったり。話題はやはり死んだ新さ
んのことになってしまう。裕、篤はどうやらおれを父親代りのように
思っているようだ。就寝十二時。
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